2023/12/19
平面上に再現された奥行を持つ真夜中の古城を進む。満月に照らされて紫がかった空が一層不気味な雰囲気を醸し出す。城門が初めから開いているのであればその先に進む以外の選択肢はない。城に続く緩やかに曲がりくねった坂道の中程まで歩くと円形の広場が現れる。突如、人型の怪物が巨大な鎌を携えて降り立つ。禿げた頭に曲がった角、硬化した蝙蝠の翼、鉤爪の足を持つ異形を前に、私の両腕は斬り割かれていた。倒れる、なすすべもなく。痛みを感じる。痛いことを感じている。次の瞬間にはもう広場にはおらず、腕は元通りになって、城門の外、城の建つ低い山の麓に隠された泉で傷を癒している。傷が癒えたと思ったときには再び城門の前に立っている。私は何度でも城に向かう。ふと明けぬ夜の空を見上げる。引き寄せ合う手が分厚い雲の向こう側にある。