2025年某日朝4時半、窓の外で鳥が鳴き始めた頃、何やらわからないものに突き動かされたように目覚め、机上のランプひとつを頼りに思いつく限りの事々を書き記す。語るべきものを全て記すにはあまりに多く、語りつくしたと宣言するにはあまりに早い。精神の牢獄、繰り返した過去、あらゆる時を超えて訪れた夢の風景。そして何より、それらを書き残す決意。丁寧に、大切に記したこの記憶を、はるかな時間を越えて誰かに読まれる、そんな幸運があるのなら。2025年現在、今ここの「私」が見ているものと同じようにすべてを思い出せるのなら。すべてを思い出すとは何ら誇張するつもりはなく、何度でもその時代において「私」は「私」を思い出す。私は確かに見ていた、地底の暗闇を、あたたかな光を、失くすまいとした思い出を……多少の違いはあれど、同じだった。だから書く、「私」の見た、過去から未来に至るまでのあらゆる記憶を決して忘れることのないように……そうだ、「私」は忘れない。灯されなくなった数々の灯りは、再び見出される瞬間を待っている……灯りの向こうに、確かに誰かがいる。それも沢山の誰かが。
/……かつて海の向こうに旅立ったのならば、私は幻想の海を行こう。