マルティル・サンセル

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1/10/2026

16.

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賛美、泡沫のような賛美が 魅入る者たちの顔を映し出し 御伽話は飽和した 親しき登場人物の名や生き様を記すべく 胸の内に 僅かに 残っていたはずの彼らの声は 雑踏に搔き消された   目も眩むほどの光に照らされた宝を 見せびらかさずにはいられなくなり なけなしの財をはたいて作られた祭...
12/31/2025

〈断〉3

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読みかけていた本のページを久しぶりに開き、続きを読む。絢爛豪華な舞台の中央で、私はいつの間にか眠りに誘われる。 目が覚めた。大分長い間眠ってしまったように思われた。いつも使っている机、その上にはコーヒー、水、蝋燭、ノート、紙片、インク、万年筆、ポストカードが眠る前と全く同じ場所に...
10/06/2025

15.

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荒波に火を灯せ 静寂に満ちる花の馨り 流れ去る煙は廻り 触れた声は散り散りになって砕けた 風よ、言の葉よ 天を衝く幻の山々よ 語られぬ遠き道よ 万華鏡の歌よ
7/30/2025

〈断〉2

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 崇めるだけが本当に正しい方法なのだろうか? 遠くにあるそれが何なのか、もっとよく見なければならない……。声が聞こえるようだ。 「今回も、やるべきことをやり遂げるのだ。そうだろう?」黒い外套が風にたなびき重く揺れる。どこかを見つめているようなかの者は、実はもう一人と目を合わせてい...
6/30/2025

〈断〉1

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2025年某日朝4時半、窓の外で鳥が鳴き始めた頃、何やらわからないものに突き動かされたように目覚め、机上のランプひとつを頼りに思いつく限りの事々を書き記す。語るべきものを全て記すにはあまりに多く、語りつくしたと宣言するにはあまりに早い。精神の牢獄、繰り返した過去、あらゆる時を超え...
2/09/2025

14.

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漫ろ歩く夢の岸辺、 見渡す限り煥いて、 覆い隠してくれるはずの 空は虚となって消えた。 思い出せ、思い出せ、 聞く者なき託宣を。 見せかけの怪物たちは 霧の中をひた走る。 沈んでいったものたちを 甦らせるべく、 運命に憧れて 運命をまた憎む。 目も眩む晅...
12/19/2024

2024/12/19

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〈備忘を兼ねて、或る街についての記録〉 大きな直線道路を道なりに進むと、左側の遠くに大きな街が見えてくる。そこは多くの観光客が訪れる街で、主に二つのエリアに分けられる。   ひとつめは商業施設が集まったエリアで、「道路」からは二つの建物が特に目立って見える。一棟がまるまる...
11/09/2024

13.

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昼の中の夜 迎えてしまった朝の日々 閉ざされたままの宝箱 鍵は誰が持っていたか 我が見つめるところを知るまでは 地上にあの懐かしい野を取り戻そうとして 天の星々からもわかるようにと わずかばかりの火を灯したものだ しかし、今はどうだ? 打ち棄てられた灯台をよそに 錨を下ろすことも...
9/20/2024

12.

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なつかしき形見は 水面の扉へ 散り散りになった欠片は 未だかそけき流星群 私が私であるように 君が君であるように 祈り、想い、求め、願う かの地の名はアルモニ 密かな切望 最初の宝 姿は変われど、奪われようと 壊れることのなかった鍵 閉ざされた昼 影の安らぎ 静寂の灯火 君の手を...
9/08/2024

11.

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数百年前の旅の続き、いつか訪れた城へ再び客人として招かれたのは、導かれたのか、それとも探していたからなのか。昼間に城の姿を見ることはできず、夜まで待たなければならない。しかし、こちらの時の流れに合わせることはない。丘の中腹、橋を渡り、風戦ぐ草原の先へ。月の光に照らされた城の影から...
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